中国語歌詞
日本語訳詞
☆概要
毛主席を讃える歌曲は山ほどあるけれど、毛主席バッヂという派生ジャンルを題材にしたというのは稀有な例ではなかろうか。だからこの曲には「毛主席バッヂを歌った唯一の曲」という評価を与えたい……のだが、さすが6億の人民(当時)を抱えた国である、同じ発想を持った人がいたようで、似たような曲が存在する。その名も「毛主席像章胸前戴」。コンセプトも名前もパクリのニオイを感じぜずにはいられないが、どちらが先かは今となってはわからない。ただし、マイナーソングに身をやつしつつもも生き残ってるのは本曲のほう。
今や満足に音源も見つからないほどマイナーと化したこの歌だが、底に沈むには惜しいほどの傑作だ。
なぜかというと、まず1つ目に曲が安定のチベット民謡というところ。「毛主席的光辉」とか「翻身农奴把歌唱」、「北京的金山上」などの名曲の枚挙にいとまがないのがチベット民謡だ。もちろん、ただチベット民謡というだけで売れるわけではない。 聴衆の耳に残る旋律を具えてなければならないが、この歌はそれもクリアしているといえよう。
軽快に飛び跳ねるようなたのしいメロディー、独特な味のある掛け声、毛主席バッヂを胸につけた喜びが伝わってくるような速めのテンポ……などなど。個人的には「心中升起红太阳」の部分でこぶしをつけたような旋律になっているのが好き。
そしてこの曲が傑作たる理由の2つ目は、歌詞のオリジナリティだろう。この記事の書き始めから唯一無二でないことをバラしてしまったけれども、毛主席バッヂソング界隈に2曲(私の確認できる範囲では)しか存在しないというのは十分なオリジナリティを持っているといってよい。
冷静になって聴いてみれば、この曲で行われているのは「毛主席バッヂを胸につけました」という行為に過ぎないのだが、それを陽光が云々のレベルまで膨らませられるのはすごいね。けなしている訳ではなく、むしろ白髪三千丈ポイントとして加点したいくらいだ。
だが、せっかく毛主席バッヂを題材としているのだから、もうちょっとそれに関連した歌詞にしてほしかった。当時の歌曲はとりあえず毛主席を思ったり語録を持ったりしただけで「心に紅い太陽が昇る」世界だから、バッヂならではの要素--たとえば夜な夜な磨いて大切にしてます!とか、貰ったとき嬉しかった!とか--を持った等身大の歌詞があればなお良かったのではないか。
改めて歌詞を見てみると太陽、太陽とばかり言っている。紅衛兵諸賢ならともかく、紅歌初心者や人民大衆にとっては???だろう。この時代の中国では太陽=毛主席なので、適宜「太陽」を「毛主席」に変換すると分かりやすいかもしれない。その方法で解釈すればこの歌は「毛主席バッヂを付けたら毛主席が思い浮かびました!」という超シンプルなものだ。そりゃあ毛主席のご尊顔が描かれているバッヂなのだからイヤでも思い浮かぶでしょうね。
最後の方に「六弦琴を手に取り」とあるが、これはチベット族の楽器のこと。
タイトルは「毛主席的像章挂在我胸前」とも呼ばれる。現在はそちらの名前で呼ばれることが多いようだが、それはこの曲を収録したCD版「红太阳 新节奏联唱」でそう書かれているからだろう。しかし不思議なことに、カセット版「红太阳 新节奏联唱3」での記載は「戴在」だ。でもCD版もカセット版も音源自体は同じで、その中では「挂在」と歌っている。カセット版の誤植をCD版で修正したのだろうか。よくわからんね……
また、「红太阳颂 歌曲专辑」という資料を引用したとしている楽譜でも「戴在」。結局どちらが原版なんだろう。
CD版 |
简谱网 http://www.jianpuw.com/htm/gx/173105.htm より引用 |
☆動画
単独では音源が存在しない。このメドレー1:49:40秒頃の音源が現在確認できる唯一のもの。ちなみにこの動画、上記の「红太阳 新节奏联唱」の丸上げ。
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