毛主席的像章戴在我胸前 | 胸にきらめく毛主席バッヂ

2021/04/12

1960年代 1970年代 紅歌

中国語歌詞

毛主席的像章戴在我胸前
词:集体 曲:西藏民歌
毛主席的像章 戴在我胸前呀
哎塞哎塞 马乃拉 戴在我胸前呀 哎!
金色的像章放光芒 心中升起红太阳
心中升起红太阳
 
戴上毛主席像章 红心向太阳呀
哎塞哎塞 马乃拉 红心向太阳呀 哎!
 永远跟着毛主席 革命的人民斗志昂扬
革命的人民斗志昂扬

戴上毛主席像章 阳光暖心房呀
 哎塞哎塞 马乃拉 阳光暖心房呀 哎!
弹起六弦唱起歌 歌唱我们心中的红太阳
歌唱我们心中的红太阳
※タイトルは「~挂在我胸前」とも。
※「哎塞哎塞 马乃拉」はチベット語の掛け声を漢字表記したもの。「依沙依沙玛尼拉」などの表記も見られる。
※歌詞三番「阳光暖心房」は「阳光照身上」と歌うバージョンも存在する。


日本語訳詞

胸にきらめく毛主席バッヂ
作詞:集団作詞 曲:チベット民謡 創作年不明
胸にきらめく毛主席バッヂ
エイサエイサマナイラ 胸にきらめく毛主席バッヂ!
金のバッヂはぴかぴかと 輝き心に紅い太陽が昇る
心に紅い太陽が昇る

毛主席バッヂを胸に付ければ 赤心は太陽仰ぐ
エイサエイサマナイラ 赤心は太陽仰ぐ!
永遠に毛主席とともに! 高鳴る革命人民の心
 高鳴る革命人民の心
 
毛主席バッヂを胸に付ければ 陽光が心に差す
 エイサエイサマナイラ 陽光が心に差す!
六弦琴を手にとって 歌おう心の紅い太陽を
歌おう心の紅い太陽を!


☆概要

毛主席を讃える歌曲は山ほどあるけれど、毛主席バッヂという派生ジャンルを題材にしたというのは稀有な例ではなかろうか。だからこの曲には「毛主席バッヂを歌った唯一の曲」という評価を与えたい……のだが、さすが6億の人民(当時)を抱えた国である、同じ発想を持った人がいたようで、似たような曲が存在する。その名も「毛主席像章胸前戴」。コンセプトも名前もパクリのニオイを感じぜずにはいられないが、どちらが先かは今となってはわからない。ただし、マイナーソングに身をやつしつつもも生き残ってるのは本曲のほう。


今や満足に音源も見つからないほどマイナーと化したこの歌だが、底に沈むには惜しいほどの傑作だ。

 

なぜかというと、まず1つ目に曲が安定のチベット民謡というところ。「毛主席的光辉」とか「翻身农奴把歌唱」、「北京的金山上」などの名曲の枚挙にいとまがないのがチベット民謡だ。もちろん、ただチベット民謡というだけで売れるわけではない。 聴衆の耳に残る旋律を具えてなければならないが、この歌はそれもクリアしているといえよう。

 

軽快に飛び跳ねるようなたのしいメロディー、独特な味のある掛け声、毛主席バッヂを胸につけた喜びが伝わってくるような速めのテンポ……などなど。個人的には「心中升起红太阳」の部分でこぶしをつけたような旋律になっているのが好き。


そしてこの曲が傑作たる理由の2つ目は、歌詞のオリジナリティだろう。この記事の書き始めから唯一無二でないことをバラしてしまったけれども、毛主席バッヂソング界隈に2曲(私の確認できる範囲では)しか存在しないというのは十分なオリジナリティを持っているといってよい。

 

冷静になって聴いてみれば、この曲で行われているのは「毛主席バッヂを胸につけました」という行為に過ぎないのだが、それを陽光が云々のレベルまで膨らませられるのはすごいね。けなしている訳ではなく、むしろ白髪三千丈ポイントとして加点したいくらいだ。

 

だが、せっかく毛主席バッヂを題材としているのだから、もうちょっとそれに関連した歌詞にしてほしかった。当時の歌曲はとりあえず毛主席を思ったり語録を持ったりしただけで「心に紅い太陽が昇る」世界だから、バッヂならではの要素--たとえば夜な夜な磨いて大切にしてます!とか、貰ったとき嬉しかった!とか--を持った等身大の歌詞があればなお良かったのではないか。

 

改めて歌詞を見てみると太陽、太陽とばかり言っている。紅衛兵諸賢ならともかく、紅歌初心者や人民大衆にとっては???だろう。この時代の中国では太陽=毛主席なので、適宜「太陽」を「毛主席」に変換すると分かりやすいかもしれない。その方法で解釈すればこの歌は「毛主席バッヂを付けたら毛主席が思い浮かびました!」という超シンプルなものだ。そりゃあ毛主席のご尊顔が描かれているバッヂなのだからイヤでも思い浮かぶでしょうね。

 

最後の方に「六弦琴を手に取り」とあるが、これはチベット族の楽器のこと。

 

タイトルは「毛主席的像章挂在我胸前」とも呼ばれる。現在はそちらの名前で呼ばれることが多いようだが、それはこの曲を収録したCD版「红太阳 新节奏联唱」でそう書かれているからだろう。しかし不思議なことに、カセット版「红太阳 新节奏联唱3」での記載は「戴在」だ。でもCD版もカセット版も音源自体は同じで、その中では「挂在」と歌っている。カセット版の誤植をCD版で修正したのだろうか。よくわからんね……

 

また、「红太阳颂 歌曲专辑」という資料を引用したとしている楽譜でも「戴在」。結局どちらが原版なんだろう。 



CD版

简谱网 http://www.jianpuw.com/htm/gx/173105.htm より引用


☆動画


単独では音源が存在しない。このメドレー1:49:40秒頃の音源が現在確認できる唯一のもの。ちなみにこの動画、上記の「红太阳 新节奏联唱」の丸上げ。