中国語歌詞
日本語訳詞
☆概要
作詞作曲に明らかに漢族ではない方々が並んでいる。もちろん中国は56民族を抱える多民族国家だから少数民族の歌曲があって当然だが、その中で目立つのはチベット族や朝鮮族のもので、この曲のようなウイグル族のものは少ない……が、この曲もヒットしなかったんでしょ、とスルーするのは実にもったいない。
曲を聴いてみればすぐに分かるが、我らにお馴染みのあのサウンドではなく、少し哀愁を帯びたような、かつエキゾチックな音に惹きつけられる。ただし!そういう音楽が聴きたいなら世界の民謡を掘り起こせばいくらでも出てくるもの。この曲がそれらと違うのはプラスして「いつもの」をやっている……つまり万歳万歳毛沢東~などと楽しいコトを言っているということだ。ウイグル族の旋律を使いながら、しっかり紅歌として作り上げられているところに燃えませんか?燃えるでしょ!
そういうわけでとっても好きな曲なのだが、どうもあんまり人気がない。こんなに良い曲なのに。どんなマイナーソングでも意外とYouTubeに上がっていたり、愛好者がウェブサイトにアップロードしていたりする。それでもダメならbilibili。あそこには変態的にマニアックな紅歌があって、例えば、なんかの劇中歌として方言で歌われている語録歌とかいう「どっから拾ってきたの」的モノで溢れている。だのにこの曲はないのだから非常にもったいない。こんな名曲を忘れ去ってはいけないよ。
現在、音源として確認できているのは中国音乐家音像出版社出版,中国音乐家华声音像集团发行(発売)の「颂歌献给毛主席--永恒的怀念」というカセットのみ。
このカセットのアレンジは実に良い。そもそも「红太阳--新节奏联唱」を嚆矢とする90年代紅歌カセットは全部、毛主席くらいすき。それらのカセットは時代背景も手伝い、電子楽器を主として紅歌を構成し直している。今聴くと安っぽいことこの上ないシンセの音や、全体的に軽っぽいサウンドは好き嫌いが分かれるかもしれないが、政治的音楽+電子音楽=革命的威力というのはすでに普天堡電子楽団が証明しているハズだ。
多くの紅歌がそうした電子の洗礼を受けたのだが、もちろん合う合わないがある。東方紅をミョーンミョーン言わせても良曲にならないことは明白だろう。しかしこの歌についていえば、そういう音と非常に相性が良いと思う。百見は一聴に如かずというわけで、音源をアップロードするのでぜひ聴いてみてほしい。なんか日本の80~90年代歌謡曲みたいな不思議な懐かしさと異国情緒が同居する名アレンジ。この曲の作曲者である過去推量みたいなお名前の人の作った作品をもっと聴いてみたくなったし、ウイグル族の音楽にもがぜん興味が湧いた。
ウイグル族の音楽センスが優れていることは本曲を聴けば推し量れるが、作詞の感覚も負けてはいない。「しつこさ」と「過剰」はわが漢民族のチャームポイントだけれども、この作詞者はそのへんをしっかりと抑えている。万歳と偉大を使いすぎて、逆に白々しい感じまで出ているのが最高だ。
もちろん、そういうネタ的な見方だけではない。曲調に合わせて何度も繰り返されるフレーズは、歌いやすさや覚えやすさといった要素を強めることに貢献しているといえよう。革命歌としては必須の項目だ。
ちなみに作詞者のトアルソンワイティ同志は漢字を基に音におこしたので、本当にそういう発音の、つまりトアルソンワイティっていうお名前かは分からない。
創作年度はカセットの歌詞カードなどに記載がなく不明だが、こちらの雑感がにじみ出るサイトに1953年と書かれている。和平解放(1949~50年)と自治区化(1955年)に挟まれた年代で、その当時のウイグルがどのような状況だったかがわからぬが、中国共産党と毛主席の宣伝のためにこの曲が創られたのだろうか。そもそも上記のサイトの記述を信用してよいかわからないけれど、毛主席万歳が浸透していくにつれてあまり「毛沢東」呼びはされなくなったと言われるから、たしかに1953年くらいが妥当な年代であろう。
☆音楽
GoogleDriveへのリンクです。このページにプレーヤーを直接埋め込めたら良いんですけどね。
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