美酒献给毛主席 | 毛主席に美酒を捧げます

2021/06/21

1960年代 1970年代 紅歌

中国語歌詞

美酒献给毛主席
词:佚名 曲:藏族民歌
 藏家的美酒 情意深啊 情意深啊
毛主席的恩情比呀比海深
北京和草原心连心呀 心连心
献上美酒献上心 献上心
双手举起金色的美酒 金色的美酒
站在草原上想念北京
献给咱毛主席呀一杯酒 一杯酒呀
祝您像那松柏一样万年青

日本語訳詞

毛主席に美酒を捧げます
作詞:不明 曲:チベット民謡
チベットの美酒を捧げます お情け深い お情け深い
毛主席の恩情は海より深い
北京と草原の心は一つ ああ心は一つ
我らの美酒と真心を捧げます 真心を捧げます
草原に立ち 金の美酒を金の美酒を手に持って
北京に思いを馳せる
毛主席に美酒を捧げます 美酒を捧げて
松のような生気みなぎる健康をお祈りします


☆概要

北京の紅衛兵がワイワイガヤガヤと奏でる騒音のようなザ・紅歌も好きだけど心が疲れてしまったときはこういった染み入る歌曲がピッタリ。原曲がチベット民謡なのでクオリティはお墨付きだ。


ただし、この曲も「同一タイトル、あるいはよく似たタイトルの別曲がある」というマイナー曲ならでは?の宿命を背負っている。しかもチベット族というところ、お酒を毛主席に捧げるという点まで同じだからなんだかかわいそうになってくる。

 

その似た歌曲というのは「青稞美酒献给毛主席」。ある程度有名なので、紅歌ファンの方ならば雪山升起~红太阳~♪というメロディを一度は聴いたことがあるはずだ。

 

ただし、曲調はかなり異なっており今日紹介している方が陰だとしたら向こうは陽。年中やかましい中国の同志たちがどっちを気に入ったかは明白だが、日本人の私からすると、このちょっと4畳半フォークを意識させるような哀愁を帯びた曲調というのはなんとも惹かれるものがある。

 

加えて、今回アップロードした音源はかなりリミックスが上手。怀念您というシリーズのカセットテープなのだが、曲のチョイスも再形象のしかたもセンスも、山のように発売された紅歌カセットのなかで群を抜いている。安っぽいシンセサウンドがいかにも90年代という雰囲気を醸し出してて最高なので聴いてみてほしい。

カセットにはカード(右)が付属。何に使うか知らないが、好みに合わせてパッケージを入れ替える用だとしたらアイドルのライブDVDみたいな気遣い。

歌詞冒頭に出てくる「藏家」という見慣れない表現について少し気になる。これはおそらく「チベット族」というような意味で使っていると思われるのだが、他でこのような使用方法を見たことがない。もう一点気になるのが、「立地城」さん所蔵の音源(http://ip.lidicity.com/hj/cn/meijiuxiangeimaozhuxi.html)ではここの部分の歌詞が異なっていることだ。加えて、「藏家的美酒」から「献上美酒」までがやけに長いという違和感を感ぜずにはいられない……文頭にチベット族の美酒~と言っておいてお情け深いだの北京と草原だのといろいろはさみ過ぎでは?はやく差し上げなさいよ、ということだ。そう考えると立地城さん所蔵の音源のほうが正しいのだろうか。


「松のような~」とは、松の木が冬でも青い(松柏常青)ことを由来とする表現。

 

さいごに、そもそものお話を。毛主席に美酒を捧げようとしているチベットの方々にはたいへん申し上げにくいのだけど、 毛主席はあまりお酒を飲まれない。いろんな文献を紐解いてみても出てくるのはタバコをやたらと吸っていたというエピソードだけで、お酒を嗜まれていた話は聞かない。

 

中共で酒豪として知られるのはなんといっても周恩来総理。リチャード・ニクソンに白酒(マオタイだったかな)を香具師のように売り込んだり、長征の頃にたどり着いた街にあった酒瓶を片っ端から飲み干したなどとザルエピソードには事欠かない。この歌には関係ないけれど、当サイトではなかなかネタにされない周恩来総理が出てきたので、彼を偲んで乾杯!

☆音源

https://drive.google.com/file/d/1LNX4eP56WoX2_wupUfJWTH0ikK3HU07A/view?usp=sharing