中国語歌詞
日本語訳詞
☆概要
解放軍空軍のテーマ曲のような一曲。いちおう本曲と同じ作詞作曲の同志が関わった「中国人民解放军空军军歌」という曲もあるにはあるが、なんか名前負けの西洋かぶれソングという印象しかない。1980年代製作の時点でお察し。一方のこちらは1962年製作だからクオリティと紅さは折り紙付きである。
まず述べておくべきは、今回翻訳したバージョンについてであろう。上記の歌詞は原版(オリジナル)である。年代はわからないが、その後改悪されて「毛泽东思想指引着我们 人民同进勇往直前」が「虹がナントカカントカ~」というくだらない歌詞にされてしまった。紅歌には、もともと毛主席賛美が薄い歌曲を文革時代に万歳要素マシマシにしたものもあり、それらは「文革版」などと呼ばれるが、本曲は文革以前にあった毛主席要素が文革後に削られるという数奇な運命をたどった歌曲である。ただし、歌詞を変えられることもなく忘れ去られた歌も多かった中で、政治的状況が変わっても歌い継ぐべく歌詞をイジられたというのは、けだし名曲の証かもしれない。
さて、そんな名曲だが、聴けば聴くほど空軍に合った曲だと感じられる。雲の上の大空を鷹揚 と飛びゆく頼もしい銀翼と、そこに帯びし八一標識が目に浮かぶようだ。それは雄大でスローテンポな曲が空軍という題材とマッチしているからであろう。もちろん、おんぼろレシプロ戦闘機で巴戦でもやっているのならばもっとチャッチャカチャッチャカした軽快で緊張感を煽るような曲が合うかもしれないけれど、祖国の青い空を悠々と飛び、敢然と敵を撃破する姿には余裕ある曲調が似合う。
おもしろいのは、1960年代に創られた曲なのに最新鋭の戦闘機にもよく合うことだ。いや、むしろ現代の強そうな戦闘機にこそこの曲が合致するのだろう。そして1960年当時のソ連からパクったポンコツミグにはあまり合わない気がする。残念だ。航空機としては共産主義的かほりをこれでもかと発するアンティークミグのほうが好きなのに。
歌詞については、注にも挙げた「人民同进勇往直前」の部分のブレが気になる。空軍のおうたなのだから「空軍」というワードが出てきても全く不思議ではないが、「人民」というのはすこし引っかかるのだ。しかも「人民功勋永往直前」などは意味が崩壊気味ではないか。「人民同进勇往直前」は通じなくもないが、空軍のイメージと合ってない。人民とともに進むの?飛行機で?
これは私の予測だが、たぶん「人民空军勇往直前」の部分が聞き間違えられて「人民功勋永往直前」などになったのだろう。「空军(kong jun)」と「功勋(gong xun)」、「同进(tong jin)」という似た発音が取り違えられて「ウチの部隊じゃこう歌うんだ!」となり、いろんなバージョンが生まれたと思う。あと、「永往直前」はただの間違いです。
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