客家語歌詞
日本語訳詞
原曲「철의 노동자」
☆概要
今回日本語訳したのは台湾地区の労働歌という変わり種だ。この歌を発見した時は大陸の旋律とは全く異なる雰囲気と、客家語で歌われているという希少性に興奮してすぐさま「台灣紅歌」というフォルダーを作って保存したのだが、あとになって考えてみるとなんか納得がいかない。これは労働歌であって紅歌ではないのではないか、いや労働歌も紅歌に分類して良いのか……?などと考えてしまった。台灣勞動黨のサイトで配布しているくらいなので、「紅」いのは間違いないが、大陸の「紅歌」と同一のものとして取り扱ってしまってよいのだろうか……結局結論は出ずじまいだったので、「労働歌」というタグを作って保留にしておこう。
先程も述べたように、大陸の旋律とはだいぶ趣が異なる。特に女工合唱団の大媽たちが歌っているバージョンはピアノによる伴奏のみだからなんか……暗い。悲壮感すら感じさせる。台湾地区の音楽ってこんな感じなのか!と思ったら原曲は別にあるらしく、韓国の「철의 노동자」という作品だという。タイトルを和訳するなら「鉄の労働者」といったところだろうか。聴いてみたところ、哀調を帯びながらも力強さを感じさせる名曲で、日本の労働歌とも通底するものを感じた。それが台湾の大媽たちが歌うとなんであんなに暗くなっちゃうのか。たぶん、ピアノのみっていう構成は力強さをアピールする労働歌に合ってないのではないか。でも台湾地区の元気なおばちゃんが一生懸命歌っている様子を想像すると、音楽性はお世辞にも高い歌曲とは言えないけれど、なんだか微笑ましい。韓国、台湾地区のどっちも名曲だ。
歌詞は普通話の語彙とはまた異なったものなので和訳に苦労した。客家語はよくわからないので、翻訳の精度は高くないよーと保険をかけておく。大陸の音楽を訳していると出てくる団体名は「共産党」か「公社」、「解放軍」くらい。だから急に「產業工會」とか「縣產總」とかいう単語が出てくると「ナンダコレ……」となってしまった。これらについては後に解説しよう。
あと、いつも親しんでいるのは簡体字なので、ゴリゴリの繁体字が出てくると脳がパニクる。でも「产业工会」、「县产总」って書くよりも、なんというか、画数が詰まっててかっこいいよね。
普通話に慣れている人にはビックリするかもしれない客家語による歌唱も味わい深いし、ちょっと日本語に似た発音なのでどこを歌っているか分かったりするのもオモシロイ。最初聴いた時は、「協商 戰鬥 我們的武器」の部分が「百姓! ちゃんと! 絵に描き!」という下らないような空耳にしか聞こえなかった。
どっちでも良い感想ばかり言ってないで歌詞の内容について言及するとしよう。日本の労働歌と比べると、結構強めの表現だと思う。「戦闘は我らの武器」なんて随分と体制側を刺激しそうな表現ではないか。これはおそらく原曲の「철의 노동자」の時点で既に戦闘的で、そのDNAを受け継いだから、とも言えるだろう。韓国の民主労総自体の姿勢が強硬なのでさもありなん、という感じだが。
大陸との違いという点で見ると、大陸では既に労働者が解放されているから、「資本家をぶっ潰すぞ!」という攻撃的な作品は生まれづらく、「俺たち労働者の天下だぜ!」というような調子のものが自然に多くなる。かえって台湾地区や韓国などの労働者が搾取と圧迫を受けている国や地域の方が、こと労働歌という分野に関しては強い表現の作品ができあがるのかもしれない。そもそも大陸で労働歌はメインカルチャーだが、資本主義諸国ではサブカルチャー、対抗文化の一つであることも重要なポイントだろう。
さて、 產業工會ってなあに?ということを解説しよう。正式名称「全國產業總工會」、台湾地区の全国的な労働組合であり、その下部組織として様々な業種・地域の労働組合が加入している。今回紹介した歌を歌っている大媽たちは「新竹縣產業總工會」のメンバーだという。最初、この歌は「全國產業總工會」の歌かと思ったが、どうやら「新竹縣產業總工會」の会歌という位置づけらしい。だから「工會加入全產總」と歌わずに「工會加入縣產總」となっているのだろう。その
新竹縣產業總工會と韓国の民主労総はストを描いた映画で交流を持ち、その映画が中文に翻訳されて……という経緯があったため「철의 노동자」の曲を用いてテーマとしたようだ。国際的な連帯を感じさせるストーリー、いいね!
最後に、台灣勞動黨がこの曲を含むいろんな労働歌の音源を無料配布しているのでURLを貼っておこう。「女工合唱團歌曲下載 - 勞動黨桃竹苗勞工服務中心」
☆動画
철의 노동자
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