中国語歌詞
日本語訳詞
☆概要
本日、2月28日は国民党反動派による一大白色テロ「二二八事件」が起きた日である。台湾地区をメインテーマとしているようなブログであれば事件についての詳細とか経緯を書き連ねるだろうけど、ご覧の通り当ブログでは中国の1960年代の大陸地区を主題としている。そんな私が二二八事件と聞いてまっさきに思い浮かんだのはこの紅歌。このタイミングでこれを翻訳アップロードすると分裂分子から批判が来そうでコワイけれども、国民党反動派憎しの一心で公開することにした。
のんびりとしたようで、かつ特徴的なメロディは原曲が台湾高山族民謡だからだろうか。もとからステキな旋律であったことは間違いがないが、そこに大陸お得意の紅流し込みをおこなったことで良曲へと昇華させた56民族和諧の象徴のような歌。台湾が国民党反動派によって不当にも占拠されたが、中国の56民族の中に高山族もちゃんと入っている。社会主義祖国はこんなにも暖かい。
創作年度や作詞作曲の情報は『战地新歌 第三卷』を参照した。そこでは創作年度は記載されていないけれども、当該書籍が1974年発行のため、曲の創作年度もそれに合わせた。古い歌曲を収録した可能性もあるが、他に収録されている曲目はみな、「批林批孔」などの文革後期臭がプンプンする代物ばっかりなのでこの曲だけ古いということもないと思われる。
曲調は紅歌では珍しいもの。特にこの時期の紅歌はネタ切れ+粗製濫造が目立ち、直線的すぎるメロディと一時的に流行った題材or労農兵などのありきたりなテーマ、が多い。そんななか本曲は明らかにスローテンポでほのぼのした旋律である。のどかな旋律すぎて紅い歌詞とあまり合っていないんじゃないかという疑惑も出るほど。原曲は聴いたことがないけれど、ここまで強い言葉以て飾られた歌曲ではないはずだ。
歌詞は相変わらず成語が多いけれど、それはいつものことなので敢えて触れない。台湾地区が解放されたらいいよ~大陸は毛主席のもとで繁栄しているよ~というベースはとても良いものだが、イマイチ歌詞の視点が判然としない。
一番の歌詞で「我们是中华民族英雄汉」と言っているが、この我们はだれか。二二八事件と困難乗り越え……みたいなこと言っているから高山族のことだろうか。
では二番の「我们冲过关山越大海」は?少なくとも高山族は毛主席のお側には来ていないので大陸側を指すのだろうか?それとも高山族がやってきた未来を予想している?
三番は「台湾を仰ぎ見て……」とあるが、これは大陸側がということだろうか。台湾の同胞を気にかけているという設定?
……と、こういうふうに視点がバラバラなのだ。1974年前後に高山族が一斉亡命でもしたのかと思ったがそういう事件があった風でもない。だとすると単なる雑作詞ということか。
メロディよし、テーマよしの良い材料だったのだから、「高山族が大陸に思いを馳せる」とか「大陸が高山族のことを家族のように気にかける」という一貫した視点が欲しかった。あと、原曲が高山族のものとか、掛け声である「ハイヤン」、そして歌詞の内容から、あまり漢民族のことを意識して作っているとは思えないけどいいの?この当時は外省人=全員反動派だから家族なんかじゃねぇ!っていう時代だったのだろうか。
上記の「ハイヤン」という掛け声は「ho-hai-yang 漢字表記:吼嗨央、吼嗨漾」という原住民の言語がもとになったものだろう。そういう名前のロックフェスもあるようだ。意味はそのまま「海洋」だという。この考えが正しいとすると、「嗨央」の読み方は「ハイヤン」だけども、歌っている社会主義祖国の人たちは「ヘイヤン」と言っているように聴こえる。オマージュするならしっかりリサーチしなさいよ。
歌詞に出てくるのワード解説をいくつか。
「玉山」は台湾島で一番高い標高を持つ山。日帝統治時代は「新高山」と改名され日本最高峰でもあった。
「披荊斬棘」はなんだかよく分からない四字熟語だが、「ひけいざんぎょく」と読み、中国語と同じく「困難を切り開いて前進する」という意味を持つ。通じない四字熟語を入れるのはどうかと思ったが、文にしてしまうと百折不撓との対比で浮いてしまうからそのままにした。
「宝岛」というサカナクションの名曲のようなワードは台湾の美称の一つ。
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