中国語歌詞
日本語訳詞
☆概要
知識青年(知青)をテーマとした歌曲。当時この類の「知青歌曲」とでも呼べるような音楽が多数作られた。この歌もその一つで、他には「到农村去,到边疆去」や「我是贫农的好后代」、「南京知青之歌」などがある。きっと、当時下放されたおじさんおばさん達はこういった曲を聴くと郷愁を呼び起こされるのだろう。そんな知識青年というある種特異な存在を代表する歌曲なのだが、いずれもほとんど情報がなく、歌詞すら出てこないことなんてザラにある。そんな中、この歌の作詞作曲まで分かったのは幸運というほかない。ただし、全くあっていない情報かもしれず、本当に胡さんと劉さんが作ったのかは確かめようがないけれど。 そして創作年度までは分からなかった。内容からして1960年代後半から1976年までの期間だと思う。
やはりと言うべきか、この歌の題材も井崗山。そこはなぜか知識青年たちに人気のスポットで、延安よりも人気な気がする。パッと思いつく限りでも文革初期に「井崗山兵団」という名前の紅衛兵組織があった。国民党反動派に囲まれつつ戦ったという戦闘的な背景が武闘上等の紅衛兵や知識青年に好まれたのだろうか。
そして井崗山をテーマとするときに外せないのが「ツツジ」と「草鞋」だ。この歌でもしっかりと抑えている。井崗山一帯をテーマにした模範劇の名はそのまま「杜鹃山」だし、音楽劇「東方紅」で上演された「双双草鞋送红军」は井崗山に住んでいる婦女が紅軍に草鞋を送るという内容の歌である。それ以外に観光資源?がなかったのだろうか。
曲調はいかにもな紅歌で、歌詞もありがちなもの。個人的には「当~年红军~穿草鞋」以降の部分がこぶしを利かせて歌えるので好き。あと、かつての紅軍が草鞋を履いて歩んだ道を、今は知青が進んでゆくという王道ストーリーも良い。
歌詞に出てくるワードを解説すると、「黄洋界」は井崗山の中腹にある一帯を指す。ここで防衛戦が行われ、毛主席がそれを紀念して「西江月·井冈山」という詞をお書きになっている。なんのことはない「へぇ~」という事実なのだが、私が気になっているのは「界」という字の読みだ。「そんなのjieに決まってるだろ」と思っていたが、歌われる時は決まって「gai」と発音しているように聞こえる。しかしながら、管見では界に「gai」という読み方は無いとのこと。一体何と言っているんだ。ちなみにGoogleMapで調べると「黄洋界」は「Huangyangjie」である。私の耳がおかしいのか……?
「插队落户」というのは知識青年たちが公社に入ることを指す単語。「生産隊に入隊して、その地に住む」という意味である。残念ながら日本語に該当する表現がないので「やってきた」という表現でごまかしている。
上記と関連する単語で「新社員」というのが出てくるが、日本語の文意とは大きく異なる。別に4月になって新卒が井崗山公社に入社したわけではなく、中国語の「公社」はコミューンという意味なので、新しいメンバーがコミューンに来たよ!というような意味。 この歌は、その新しいメンバーに草鞋を渡して「よろしくね!」というようなめでたい場面を歌っている歌曲である。「插队落户」したときにどんな支給品が貰えるのかはわからないけれど、いきなり草鞋を渡されて「じゃあ今から農作業だから」とか言われたらそれはブラック公社ではないのか。
ちなみにこの曲が収録された「知青老歌专辑」というのがアマゾンで購入できるので興味のある方は調べてみてほしい。
☆動画
なぜかサムネイルが包子。すごく音質がいい。言って良いのかわからないが、アマゾンで売っているのと全く同じ音源で、しかも公式アップロードっぽい。売る気あんのか?
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