中国語歌詞
日本語訳詞
☆概要
今回お届けする名曲は、国慶のパレードでも歌われることの多い「人民军队忠于党」……の文革版です。わたくし紅衛兵にとってみれば、これこそが「原版」であって、人民军队忠于党(正統)という称号を付与したいくらいの歌曲なのだけれど、世間ではこちらのほうがマイナーなのでしょうがなく文革版と但し書きを入れた。同時に現代版の「人民军队忠于党」も日本語訳したので、もしも文革版がイヤならばこちらを見てほしい。
さて、そんな文革版の本曲だが、ネット上で調べてもほとんど情報が出てこないので、聞き取って歌詞に起こし、ただよう情報を断片的につなぎ合わせてこの記事を制作した。したがって、かなり胡散臭い情報精度になっていると思われるが、どうかご容赦願いたい。
例えば、作詞者は张永枚同志と記載されているソースがあったが、张永枚同志がしたためた歌詞は原版の方の歌詞である。文革期の歌詞も本人が作ったという可能性は低い。なぜなら、文革期に改変された歌曲の多くは、作詞作曲の同志たちが批判された~とか歌詞が良くないよね~という理由によって手が加えられたからだ。だから集団作詞というのがホントのところかな、とも思うが、いかんせん情報が少なすぎてよく分からない。
もうひとつ分からなかったのが創作年度。原版は1960年作だけど、こちらは記録にない。ただし、一部でこの曲が文革版と呼ばれていることを考えると60~70年代の作品であることは間違いないだろう。
そんな不人気ソングである文革版だが、私は原版よりも優れている歌詞だと思う。それは「継続革命っていうワードが出てくる」とか、「毛沢東ではなくちゃんと毛主席と呼んでいるから」、という紅衛兵的理由だけではない。オリジナルバージョンの方では一番の歌詞が「雄伟的井冈山 八一军旗红~♪」となっているが、これが時代考証ミスだからである。八一の御旗が制定されたのは1949年のこと。紅軍が井崗山にあったのは1930年までではなかったか。当時存在しない旗幟が翻るとはこはいかに。尤も、紅軍が井崗山を奪還したのも1949年なので、「いや、奪還したあとに旗が掲げられたんだよ」という説も通じなくはないが、この歌が井崗山→長征→延安→新中国というストーリー仕立てになっていることを考えると、普通にミスだと思う、と面倒くさいオタクみたいな意見を開陳しておく。
上記のように原版と比べて歌詞が変わっているが、国歌とか「歌唱祖国」に比べれば控えめなほう。遵義、持久戦、継続革命といった毛主席エキスが散りばめられただけで、大筋としては変わっていない。言い換えれば改変が微妙すぎてイジりづらい。それでも「偉大な毛沢東」から「偉大な毛主席」へと変更されたのは中国人の意識が表に現れているようで興味深い。中国語で呼び捨ては別に失礼なことではない。だから「毛沢東」のままでも良かったんだろうけど、それを敢えて「毛主席」に変えたということはやはり「毛と来たら主席しかない」のような特別な想いがあるのだろうと推察される。
あと、これは改変された歌詞ではないのだけれど、「万里长江水,奔腾向海洋」というのが何を言っているのかよく分からない。いや、意味が「長江の水が万里を流れて海原に注ぎ入るよ」だというのは分かるのだが、その後の「继续革命握紧枪,人民军队忠于党」との繋がりがよくわからないのだ。長江の勢いを兵の士気と重ねているのか、水が一路流れゆく様を兵士たちの一途な決意の比喩としているのか……まさか「諸国大名は弓矢で殺す」のようなもの?
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