中国語歌詞
*「阶级友爱」は「革命友谊」と歌われることも
日本語訳詞
☆概要
1966年、邢台に地震が起きた。作者の劫夫(李劫夫)は自ら邢台へ赴くことを希望し、現地を視察した後に数十曲を書き上げた。そのうちの一曲が邢台民謡をもとにしたこの『爹亲娘亲不如毛主席亲』だ。あまり地震との関係性がよくわからない。地震の視察から帰ってきたらこんな仰々しい紅歌を作り上げるとは、当時誰も予想し得なかっただろう。「父母の親しさも毛主席の親しさには及ばない」この一文だけで相当な紅パワーを持っていると思う。
文化大革命中の大ヒットソングであり、「文革といえば」で思い出す曲の上位に入っているはずだ。張芸謀監督作品で文化大革命期の淡い恋愛を描いた『サンザシの樹の下で』でも主人公がこの曲を忠字舞をしながら歌うワンシーンが存在する。主に歌われたのは初期頃のようで、林彪反党集団が一掃されると、関わりがあったとされる作者の劫夫も失脚し、次第に歌われなくなったという。
「階級友愛」とは文化大革命期に顕著に見られる政治用語。当時は労農兵が最も革命的と看做されていて、もちろんブルジョワは反革命と看做された。そうした中で出身階級や階級間の絆、階級敵に対する恨みなどが強調された。非常に抽象的な概念。
訳出にあたって、日本語タイトルが長ったらしくなってしまった。こうした繰り返し系の歌曲は詞もクドくならないように訳したいところだが、原文からして大仰かつ過剰表現なので敢えてしつこいくらいに訳出してみた。
☆動画
映画『サンザシの樹の下で』のワンシーンより。この映画の主人公の父は労働改造所送り、母は再教育を受けさせられている。そういった環境で「父母の親しさも毛主席の親しさには及ばない」と歌っているのがなんとも言えなくなる。舞台左右の文字は『毛主席語録』の一番初めに出てくるもの。
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