紅歌マニアに送る「中国音楽入手方法大全」

2020/07/18

軍歌 語録歌 紅歌 中国語

紅歌などのマイナー音楽にハマった人が最も困るのは「スキだけどこの音楽どこで手に入れるの?」ということではないでしょうか?

少なくとも私は答えがわからず、大好きなのにグッズが手に入れられないという悲しい状態でした。最近になってようやくその入手ルートを理解してきたので、同じ環境にある方々に参考にしてもらえれば嬉しいです。

主に紅歌の入手方法について記述しますが、現代のC-POPなども、例えば下記①の淘宝で探せば比較的簡単に入手可能です。


①淘宝で買う
現在選ぶべきルートとしてはこれがトップに来ます。なにより本場なので品揃えは豊富だし、安い!淘宝には何でも売っているので中国音楽のCDを買ったついでに毛主席の銅像も購入する、なんてことも出来ます。一度にまとめて買ったほうが送料の面から見てお得なので、なるべく爆買しましょう。

さて、買い方ですが二通りあります。
①淘宝で直接買う
②代行業者を通して買う

これは②一択だと思います。日本に発送してくれる出品者が少ないですし、してくれたとしても送料が一つごとにかかってしまうので、手数料を払ってでも代行業者にまとめて頼んだほうがスムースに行きます。取引の際の連絡もすべて中国語なのでやはりプロに任せたほうがいいかも知れません。私は中国へ行った際に一度もまともな買い物が出来た試しがない(お釣りが足りない、ボッタクられる)ので、①の方法は怖くてできません。

代行で有名なのはタオバオ新幹線で、私も最初に利用した代行サービスです。意気揚々と紅歌のCDを10個ほど、毛主席グッズを5個ほど注文フォームに記入したのですが、確認をしてもらうと紅歌のCDは全部NG、毛主席グッズも一部NGでした。

理由を聞くと「CD、DVDは税関で没収のリスクがあるため規定で配送禁止」とのこと。そういうのは最初に言ってくれ……ただ、別に政治的な品は良いようで、『習近平 国政運営を語る』や党員バッヂはOKでした。

結論から書くと、別に没収されません。今まで数十枚の紅歌CDを、他代行サービスに依頼しましたが、すべて手元に届きました。それでも、一応リスクとしての可能性は0ではないのでお気をつけください。

CD、DVDを買い付けてくれるサービスとして、私はタオバオ代行.comを利用しています。料金やレートなど、ベストではないと思いますが、何よりCD、DVDを購入できるというのが第一です。追加購入などの手続きもスグに対応してくれるので気に入っています。何より中国人がやっているというのが良いですね。私の購入時には問題ありませんでしたが、購入する際には念の為、確認なさることをオススメします。

タオバオでの購入はまた別記事で詳述します。買うときにも「在庫が8000個とかになっているのに注文したら無かった!」みたいな中華感あふれる事が起きるのでそのへんの対処や一回の注文にかかるだいたいの金額を説明したいと思っています。


②国内の中国図書を扱う書店で買う
有名な東方書店や内山書店がある神保町で買う方法です。

首都圏在住で神保町に気軽に行けるのならば良いと思います。私は地方在住で東京に行くのに往復7時間8000円くらいかかるので都合で東京に行ったついででしか買いに行けません。行きたくありません。

しかし、あくまでも「書店」なので、音楽関係は専門外。江沢民文選とか中国共産党章程などの書籍が欲しくて行くのならば良いでしょう。

主にCDを買いたいのならば内山書店をオススメします。二階の一角に音楽関係のコーナーがあり、結構種類がある印象です。ただし、あまりマニアックなものはなく、国歌や音楽劇『東方紅』の音源などの有名どころが多いです。

そういえば半年ほど前に行ったときは紅歌界のレジェンド『毛泽东颂歌新节奏联唱:红太阳』が売られていた記憶があります。もともとはカセットテープで発売されたもので、90年代に大ヒットした紅歌メドレーです。それのCD版で音質も選曲も良いので、まだあればぜひ手に入れるべき逸品です。他にも中国音楽の楽譜(五線譜ではなく数字譜・簡譜が主流)なども売っているので好きな方は一度行ってみると意外な掘り出し物があるかも知れません。

東方書店で服務員さんに「CD類はありますか?」と聞いたら「タオバオなどで手に入ることもあって、最近は取り扱ってないです。なにかご希望があれば取り寄せることも可能ですよ」とおっしゃっていました。残念ながら店頭にCDは少なかったですが、もしも気になるCD、DVDがあれば情報をお伝えしたうえで取り寄せてみましょう。

また、多くの書店でオンラインストアをやっているので、そこで買うということも可能です。ただ在庫の種類が多いためか、探すためにはまず欲しい物の商品名で探さないとなかなか出てこないので、「中国音楽のCD」といった大まかな分類だとかなり探しづらいです。

やはり昔と比べると中国関係の物品を気軽に個人輸入できるようになった事もあって、国内の中国専門書店では中国音楽が手に入れづらくなったと感じます。また、価格設定が結構高めで私のような貧民には厳しいです。参考までに上記の『毛泽东颂歌新节奏联唱:红太阳』は淘宝では60元(約920円)ほど、内山書店で見たときは5000円ほどでした。

毛主席の肖像を配したケースがコレクション欲を満たしてくれます。
オススメです!


③音楽配信サービスを利用する
モノは手に入りませんが、試聴できる事が多いですし、音質も良いです。ただ一番の欠点は中国音楽はほとんど取り扱いがないということ。

アマゾンでいくつか販売されています( 誰が買うんだ……? )勝手な先入観で「あんまり良いものは無いだろうなぁ」と思っていたのですが、結構マイナーでレアな音源が高音質(mp3 320kbps)で売られていてこの前買いました。他にも児童合唱っぽい音源とか音楽劇『東方紅』の音楽とかが売られたりするので意外と見逃せません。ちなみに私が購入したのは『知青老歌专辑』というものです。なぜか公式っぽいところが全曲YouTubeにアップロードしてます。それでいいのか……

中国のサイトに登録ができれば色々と聴くことができそうですが、往々にして中国内の電話番号を求められるため、私は使ったことがありません。あと、中国のサイトで公開されている音源は非常に音質が悪いものが多いイメージ。片方のスピーカーからしか音が聞こえないとかザラです。

これからに期待!な選択肢。残念ながら、いつまで待っても配信されない可能性のほうが大きいと思いますが……


④動画サイトで視聴する
これは正直なところ書くかどうか迷いました。著作権の問題があるからです。しかし

①中国共産党の公式ウェブページで一部の紅歌を配信している
②解放軍も軍歌を無料配布している事がある
③中央電視台(CCTV)がYouTube上のチャンネルで紅歌を歌う番組をアップロードしている

という状況なので「まぁ良いだろう」ということで書きました。著作権、誰が保有してるんでしょうか。紅歌というジャンルに長く身を置いていますが、著作権でモメたという話どころか著作権という概念を見聞したことがありません。おそらく政府が権利者となっているような気がしますが、当の政府が無料配布しているので没问题でしょう。

しかし、紅歌や解放軍の映像を使用してMVを作って収益化などは、いくら中国のコンテンツの多くが実質的に保護を受けていないとはいえ、日本国内の法律、コンテンツで考えれば違法な行動であり、そういったことは厳に慎むべきです

ではどの動画サイトが良いか紹介していきます。

①YouTube
言わずと知れたネット界の巨人。世界中で使われているため、さまざまな動画があります。中国大陸からは接続禁止だけれど、グレートファイアウォールを抜け出して見ている人々も多数。華僑が動画を上げている場合もあったりと、国際的な中華が楽しめます。

中国の音楽は、だいたいなんでもあります。誰でも知る名曲からちょっとマイナーなあの曲まで網羅。コメント欄で「あの時代は辛かった…」みたいなやり取りが繰り広げられていることもあるのでそういうコメントを含めて楽しめる場所です。

また、CCTVの公式チャンネルで春節聯歓晩会や建党、建軍〇〇周年を祝う特番なども上げられており、ただ聴くだけでなく踊りや演技なども楽しむことが出来ます。私はまだ出来ていませんが、春節聯歓晩会を古い順に見ていって、表現や選曲がどういう風に変化しているのか追うこともできると思います。卒論のテーマなどにいかがでしょうか。

YouTubeでほとんどカバーしているため、あの曲が試聴したい!とかどんな曲があるのかな?というような目的で使うのならば大抵叶うでしょう。マイナー中のマイナーみたいな曲を探し当てたい場合は本場のサイトへ行く段階です。

②哔哩哔哩(ビリビリ動画)
中国人の中国人による中国人のためのサイト。本場です。あの曲を探しに来たのについつい面白そうなMAD動画を見てしまう時間泥棒サイト。私がここを使うときはだいたい語録歌を探しに来ます。

ドマイナーな音源がアップロードされてて3再生くらいしかされてないとかがたくさんあります。あの華主席テーマの歌(『歌唱华主席』)などもYouTubeにあるため、ほんとによっぽどの時でしょう。ここを見るのは。ちなみに私はビリビリ動画で華主席バージョンの『祝酒歌』を見つけて大歓喜しました。

もしもこのサイトにも無い音源となるとグーグルや百度で検索かけて地道に探すというようなことに。でもビリビリ動画でも見つからないようなマイナー音源を探し求めている時点で初心者の域をはるかに超えてます。きっと聞きたい音源を見つけられることでしょう。


繰り返しになりますが、あくまで見て、聴いて楽しむ範囲に留めましょう。

私は、好きな人だったらきっと買って紅歌をより好きになってくれると思っていますし、興味のある人、ちょっと聴いてみたい人に対してわざわざ「金だしてCD買って聴け!」というのも無茶だと思っています。党や政府、軍が音源を公開してくれたり、著作権に寛容であることに感謝して一緒に楽しみましょう!


おわりに
現在、中国音楽を手に入れようとするのならば淘宝で代行サービスを使って購入するのが一番手軽かつ選択肢豊富だと思います。近々詳述しますが、淘宝と一口に呼んでも天猫という、ほとんど同じ感覚で使えるサービスもあります。淘宝がメルカリのようなモノだとしたら天猫は楽天市場のような感じでしょうか。それぞれ長短ありますが、どちらも日本では入手できない音楽を手に入れる事ができる素晴らしい環境です。また、代行サイトも様々あるのでよく調査して依頼することを推奨します。

私がこの記事を書くことになったきっかけは、紅歌にハマりたての当時、音源の入手方法が分からずに悲しい思いをしたことです。素晴らしい翻訳をアップロードされているサイトが沢山ありましたが、そこの管理人さんに「どこで買ったんですか!」と聞く勇気もなかったので、自分で筋道を見つけるしか無かったのですが、それがとても長くて勝手がわからない道だったので、あのときの自分に教えてあげるような気持ちで書き上げました。

これをきっかけに豊かな中国音楽ライフを送ってくださることを願っています。